ヘリでもドローンでもない!なぜ、空飛ぶクルマなのか?

2025年の大阪万博に向けの注目を集めているのが、「空飛ぶクルマ」です。

近年、急速に開発が進み話題となっているのですが、なぜ「クルマ」なんだ?とか、ヘリコプターと何が違うのか?ドローンとの違いはなんなのか?などなどいろいろと疑問が浮かんできます。

そんな疑問を解説しています。

今後、空飛ぶクルマにことを見聞きしたときに、違った切り口で見ることができるようになっているはずです。

空飛ぶクルマの定義

まずは、空飛ぶクルマの定義ですが、明確な定義はなく経済産業省では「電動垂直離着陸型無操縦者航空機」を正式名称としています。

空飛ぶクルマ = 電動垂直離着陸型無操縦者航空機 (eVTOL:electric Vertical Take-Off and Landing)

これを機能ごとに分解すれば、電動垂直離着陸が可能、かつ、操縦者が不要で自動操縦ができる、空を飛ぶ物体となります。

まず、一番最初に思うのが「クルマ」です。

一般的に、クルマといえば、「車輪を回して移動する仕掛けの物」とイメージされます。

ですが、この空飛ぶクルマの「クルマ」の言葉の概念には個人が日常の移動のために利用するもの」との意味から呼称されているようです。

 

垂直離着陸ができるヘリコプターとドローンの違い

垂直離着陸ができるとなっていますので、滑走路が必要な飛行機とは大別できます。

ですが、それなら滑走路が不要な「ヘリコプター」が思い浮かびます。

たしかにエンジン駆動なので「電動」ではありませんが、それなら「電動式ヘリコプター」になりますよね。

そうならなかった正式な理由はわかりませんが、よく言われる例えに空飛ぶクルマを「有人ドローン」と言われることを考えれば、飛ぶ仕組みが違うのだと理解できます。

まず、ドローンは「無人飛行機」と定義されています。

そもそも、ドローンとヘリコプターはどこが違うのでしょうか

 

ヘリコプターの原理

ヘリコプターは、回転翼とされる羽(ブレード)を回転させることで揚力を得て機体を上昇させます。

そして、前後に動くにはその回転しているブレードのあるい一部分の傾きを変化させます。

ブレードの羽が1回転=360度として、0度が機体の真正面だとすれば、180度の位置は真後ろになります。

この真後ろとなる180度の付近の位置にブレードが来た時にブレードの角度を変化させます。

傾きを緩やかにすれば揚力が弱まる、傾きを急にすれば揚力が強くなるといったイメージです(急すぎると揚力は弱まる傾向になります)。

そうすることで機体の前と後ろで揚力のバランスが崩れ、結果、揚力が強い位置側が上昇することになり機体が傾くことになるのです。

機体が傾くとそれによって推進力が働き、前進や後退ができる仕組みとなっています。

また、ヘリコプターは羽の回転とは逆の力が機体に働き、機体が回転しようとしてしまいます。

そのため機体の後部にも回転翼があり、それによって機体が回転することを防いでいます。

 

ドローンの原理

ドローンはヘリコプターと同様に羽によって揚力を得るのですが、推進させる方法が違います。

ヘリコプターのように羽の角度を変えて揚力を変化させるのではなく、回転数を変化させて揚力を変化させます。

揚力を変化させたことで揚力のバランスが崩れ、機体が傾き推進力が働きます。

機体の傾きによって推進力を得ることは同じですが、ヘリコプターと違って回転数を変化させて前後左右に動くことができるのです。

 

原理の違いまとめ

ヘリコプターの回転翼は常に一定の回転数でブレードの角度を変化させて前後に動くのに対して、ドローンではブレードの角度を変化させるのではなく、複数の羽の回転数を変化させて前後左右に動くことができるということになるのです。

こういった違いが「電動ヘリコプター」にならなかった要因なのかしれません。

 

固定翼の空飛ぶクルマとは

垂直離着陸ができると言った時点で、滑走路が必要な飛行機を大別しましたが、その飛行機の特徴ともいえる「固定翼」のタイプの空飛ぶクルマがあります。

固定翼で垂直離着陸とはどんなものなのか?

そもそもの固定翼と回転翼の違いから解説していきます。

 

固定翼と回転翼の違い

固定翼はその呼び名の通り、翼が固定されていますので、揚力を得て飛ぶには推進力が先に必要になります。

推進力がある場面で、羽の角度が変化することで揚力を得ることができ、飛んでいるのです。

回転翼はヘリコプターやドローンの原理ですので、揚力を変化させて推進力を得ているイメージとなります。

 

固定翼の離着陸

では、固定翼の垂直離着陸をするにはどうするのかというと、固定翼に回転ローターをつけるといったイメージとなります。

なので、離着陸時の回転ローターは上昇するために活用され、上昇したあとでの推進力を得る場面では、回転ローターの向きを変えて推進力用に活用されるのです。

また、この回転翼のついた向きを変える方法で、固定翼全体の向きを変える方法を「ティルトウィング」と呼び、回転ロータのみの向きを変えることを「ティルトローター」と呼ぶそうです。

ティルト=傾きです。

 

いいとこどりの固定翼

垂直離着陸できる利点は、滑走路などの広い場所が必要ではないということです。

ですが、揚力を得るために常に回転させる必要があり、かつ、推進力のためにも回転する力が必要となりエネルギーを大量に使うことになってしまうのです。

一方固定翼は、羽の角度を変えることで揚力をえることができますので、エネルギーコストが少なくていいようです。

固定翼は推進力のために、滑走路などがいるが、航行距離が長くできるといった特徴で、回転翼は離発着に場所をとらないが、航行距離が短くなるなどの特徴を考えていいとこどりでの開発がされているようです。

 

世界規模での開発がすすんでいる「空飛ぶクルマ」、今後どういった開発がされていくのか楽しみでなりません。